ひと昔前までは、女性や若者の乗り物というイメージが強かった軽自動車。しかし、現在は普通車の年間合計販売台数を脅かすほどの人気を集めています。軽自動車は今や、幅広い年齢層・性別のユーザーから親しまれている乗り物です。
今回は軽自動車の「税金や維持費」が、普通車と比べてどれくらい違うのか解説していきます。新しい車を購入するにあたって、普通車と軽自動車のどちらを購入すべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
普通車と人気を二分している軽自動車
21世紀を代表する国民的大衆車と言えば、トヨタ・プリウスを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。たしかにプリウスは誰もが認める国民的大衆車ですが、実は軽自動車には、プリウスを超える販売台数を記録している車種が多数存在しています。
例えば、ホンダ・N-BOXやダイハツ・タント。これらの車種は1ヶ月で2万台を販売することも珍しくはありません。プリウスの販売台数は1ヶ月で1万台前後なので、軽自動車が爆発的な支持を得ていることが伝わると思います。
参考:乗用車ブランド通称名別順位 | 統計データ | 一般社団法人日本自動車販売協会連合会
参考:軽四輪車通称名別新車販売確報 – 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会
軽自動車の定義
現在の道路運送車両法によると、軽自動車は「排気量660cc以下の三輪、四輪車」のことを指します。125cc超250㏄以下の二輪車も厳密には軽自動車に該当しますが、一般的には軽四輪と軽二輪として区別されているようです。
軽自動車は1998年に改定された規格によって、ボディサイズが「全長3,400mm以下・全幅1,480mm以下・全高2,000mm以下」と定められています。乗車定員は4名、貨物積載量は350kg以下です。
これらの条件をひとつでも満たすことができなければ、軽自動車ではなく普通車扱いになります。一般的なナンバープレートの色は「黄色地に黒文字」。「白地に黒文字」の普通車とはわかりやすく区別されています。
普通車の定義
普通車は通称のことで、正式には普通自動車と呼びます。普通自動車には運転免許制度における区分と道路運送車両法における区分があり、少々ややこしいです。一般的には「車両総重量3,500kg未満・最大積載量2,000kg未満・乗車定員10名以下」の車を指します。
普通自動車ではなく普通乗用車というものもありますが、こちらはナンバープレートによって区分されていて、ナンバープレートの分類番号が「3」の車が普通乗用車です。一般的には3ナンバー車と呼ばれています。
分類番号が「5」の車は小型乗用車です。通称5ナンバー車と呼ばれています。「全長4,700mm以内・全幅1,700mm以内・全高2,000mm以内・総排気量2,000cc以内」であることが小型乗用車の条件で、軽自動車も小型乗用車に該当します。
【軽自動車と普通車】税金はどれくらい違う?
車にかかる税金は大きく分けて4種類あります。自動車税/軽自動車税、自動車重量税、環境性能割、消費税です。環境性能割は自動車取得税の廃止に伴い、新たに課されることになった新しい税制になります。
自動車税/軽自動車税
1年に1度、4~5月の期間に納める必要がある自動車税/軽自動車税。所有している車が普通車なら自動車税を、軽自動車なら軽自動車税を納める必要があります。どちらも毎年4月1日時点での車の所有者に納税義務が生じます。
- 排気量1,000cc以下/25,000円
- 排気量1,000cc超~1,500cc以下/30,500円
- 排気量1,500cc超~2,000cc以下/36,000円
- 排気量2,000cc超~2,500cc以下/43,500円
- 排気量2,500cc超~3,000cc以下/50,000円
- 排気量3,000cc超~3,500cc以下/57,000円
- 排気量3,500cc超~4,000cc以下/65,500円
- 排気量4,000cc超~4,500cc以下/75,500円
- 排気量4,500cc超~6,000cc以下/87,000円
- 排気量6,000cc超/110,000円
これが排気量ごとに課される自動車税額になります。軽自動車税は10,800円です。最も自動車税が安い「排気量1,000cc以下」の車でも、軽自動車の安さには敵いません。
参考記事:ハイエースの自動車税の裏ワザとは?維持費を抑える方法をご紹介
自動車重量税
自動車重量税はその名の通り、車両重量に応じて課される税金です。新車の購入時および車検のタイミングに合わせて納税する必要があります(初回は3年分、以降は2年分をまとめて納める)。こちらも普通車と軽自動車で税制が異なっているので注意しましょう。
普通車は車両重量0.5tごとに年間4,100円、軽自動車は車両重量にかかわらず年間3,300円を納める必要があります。自動車重量税においても軽自動車の安さは圧倒的です。車種によってはエコカー減税が適用され、減税もしくは免税になることがあります。
環境性能割
自動車取得税の廃止に伴い、2019年10月から新たに課された環境性能割。こちらも車によって、納める税額が異なります。電気自動車、燃料電池車、クリーンディーゼル車であれば、環境性能割は非課税です。
また、2020年度燃費基準の+20%を達成している車種も非課税となります。+10%の場合は取得価額の1%を、基準達成の場合は取得価額の2%を納めなければいけません。
2020年度燃費基準を下回る場合、軽自動車は取得価額の2%、普通車は取得価額の3%納める必要があり、やや軽自動車の方が優遇されていることがわかります。
【軽自動車と普通車】維持費の差はどのくらい?
続いて、軽自動車と普通車の維持費の差について迫っていきましょう。今回は車検費用、ガソリン代、任意保険料、駐車場代、タイヤ代、その他消耗品の6項目で比較していきます。
車検費用
初回3年、その後は2年に1度訪れる車検。車検費用は「法定費用」「点検費用」「部品交換費用」の3つから成り立っています。「法定費用」は自動車重量税、自賠責保険代、印紙代のことで、車検を受けるにあたって避けては通れない費用です。
「点検費用」は24ヶ月定期点検代、測定検査料、車検代行手数料のこと。こちらはディーラーや整備工場など、点検を受けるショップによって金額が異なります。「部品交換費用」も車のコンディション、工賃によって金額が異なります。
車検費用は車種ごとに大きく左右され、普通車と軽自動車の扱いに違いがあるわけではありません。ただし、普通車と軽自動車では自動車重量税額に差が出るため、結果的には軽自動車の方が安く済むことが多いです。
参考記事:車検切れ目前のハイエース!車検切れ、車検後どちらに売却すべき?
ガソリン代
車に乗る機会が多い人ほど、金額が大きくなるガソリン代。近年は自動車自体の進化によって、燃費性能が大幅に向上した結果、以前よりもガソリン代が安く済むようになりました。とはいえ、車の維持費の中で大きな割合を占めるものであることに変わりはありません。
ガソリン代は「ガソリン1Lあたりの単価×走行距離÷燃費性能」で求めることができます。最寄りのガソリンスタンドの1Lあたりの値段と購入を検討している車の燃費性能を調べたうえで、計算してみてはいかがでしょうか。
任意保険料
自賠責保険とは違い、加入が義務付けられていない任意保険。自賠責保険だけでは万が一の際に補償が足りなくなることが多いため、加入が推奨されている保険です。任意保険料は車種や加入する人によって金額が大きく変わるため、見積りを取る必要があります。
一般的には普通車よりも軽自動車の方が、保険料の相場が安くなっています。現在車を所有していて任意保険に加入している人は、保険会社に尋ねてみると良いでしょう。各保険会社のWebサイトからオンライン見積りを取ることもできます。
駐車場代
駐車場代は住んでいる地域によって金額が大きく異なります。基本的には料金は一律です。持ち家や土地を所有している人であれば、もちろん駐車場代を支払う必要はありません。すでに駐車場を借りているという人も、気にする必要はないでしょう。
車をはじめて購入する、増車する人は駐車場を探すところから始まります。郊外に住んでいる人であれば、自宅のすぐ近くに空き駐車場を見つけることができるでしょう。駅前や都市部に住んでいる人は、最寄りの駐車場に空きがない可能性があるので注意してください。
タイヤ代
車の消耗品の中で、最も代表的かつ出費の大きいものがタイヤです。タイヤはどんな銘柄を選ぶかによって金額が大きく異なりますが、一般的にはサイズが大きければ大きいほど高価だとされています。
一般的には軽自動車の方が小さなタイヤを装着しているため、タイヤ代が安く済むことが多いです。タイヤは乗員に安全や快適をもたらす大切な部品のひとつなので、値段の安いものに飛びつくのではなく、慎重に銘柄選びをするようにしましょう。
その他消耗品
車はタイヤ以外にも、多数の消耗品があります。
- エンジンオイル
- エンジンオイルフィルター
- バッテリー
- ブレーキオイル
- ブレーキパッド
- ラジエーター液
- エアクリーナー
- ワイパーブレードゴム
- スパークプラグ
タイヤを除く代表的な消耗品だけでも9種類あります。これらすべてを自分自身で管理する必要はなく(管理できるに越したことはありません)、実情はディーラーや整備工場に任せっきりの人も多いです。
消耗品類に関して、普通車と軽自動車で大きな差はありません。軽自動車の方が消耗品代、部品代が安く済むことも多いですが、安い部品・消耗品はその分劣化が早いので、これに関しては一長一短だと思います。
まとめ
今回は車の税金や維持費を詳しく紹介しましたが、いかがだったでしょうか。軽自動車と普通車を比較した結果、全体的に軽自動車の方が安く済む傾向にあることがわかりました。
とはいえ、近年は普通車よりも高価な軽自動車が続々と登場しています。税金や維持費だけではなく、車両価格や燃費性能、車を手放すときの買取相場などを考慮したうえで、自分にとってベストな車を購入するようにしましょう。